HOME > 液体班
液体班
研究目的
高圧下でのアモルファス氷や流体リンでの1次相転移の発見は、液体やアモルファスの構造変化は連続的で単調であるという従来の物理・化学の常識を覆すものとして注目を集め、新しい研究の潮流を生み出している。このような研究では、中性子散乱実験は軽元素の観察や高い空間分解能といった点でX線にない大きなメリットを持つ。液体班では、本領域で立ち上げる高温高圧中性子散乱ビームラインを用いて、世界的にユニークな液体や非晶質などの高温高圧実験を実現する。中性子のメリットが生きる水をはじめとする化学的に単純な系を対象に高密度液体の分野での更なる新発見を目指すとともに、測定法や解析法の開発を通じてマグマ班を支援する。
研究計画
本研究では、日本ではまだ行われていない高温高圧下での液体の中性子散乱実験を可能にし、液体の構造変化や相転移、水における水素結合の圧力変化など現在関心が高まりつつある課題を推進する。そのため、以下のような諸問題に取り組む。
高温高圧下での液体・アモルファスの実験法と解析法の開発
高温高圧発生技術を持ち、放射光X線を使って液体研究を行ってきたメンバーがパルス中性子を用いた液体・アモルファスの構造研究を行ってきたメンバーの協力・指導のもと高圧中性子散乱の実験法や解析法を開発する。
水における水素結合の圧力変化の解明
水は、水素結合による局所4配位のネットワーク構造がよく残っているため、一般の液体に見られない特異な性質を示す。これまでのX線回折実験によって、加圧によってこの局所構造が変化し、酸素原子の配置が単純な液体の構造に近づくことがわかってきた。中性子散乱実験によって水素の位置を調べ、水素結合の温度・圧力変化を解明する。これは水の地球内部での役割を考える上での基礎的な知見となりうる。
液体中での一次相転移や半導体金属転移に伴う結合状態の変化の解明
高圧下で発見された、リンにおける分子性液体から重合液体への一次転移や液体セレンにおける半導体-金属転移などでは、低圧で原子と原子を結び付けている共有結合が転移と共に大きく変化すると考えられている。高い空間分解能での測定が可能な中性子のメリットを生かして、このような変化に伴う原子間の結合の変化を解明する。
地球科学への応用
以上の課題で開発された方法を生かして、マグマ班の研究を支援する。
▲このページのトップへ
|